平熱の調査
「平熱」を知っている人の率は9割でしたが平熱の平均値は、本人36.1℃、子ども36.4℃と低めでした。
(自由回答)
Q. あなたは、あなたご自身とお子さまの「平熱」は何℃だと思いますか。
ご存知の方は0.1℃単位の数字を以下に記入してください。
■平熱 (認知者ベース)
ご自身とお子さまの両方の"平熱"を回答していただいたところ、
- 平熱を知っている人は、ご自身・お子さまともに9割前後でした。
- 多かったのは「36.5℃」(ご自身20.4%/お子さま18.3%)、次は「36.0℃」(同18.8%/14.8%)が上位となりました。
- 平熱の平均は、ご自身が36.14℃、お子さまが36.39℃となりました。
平熱35℃台という回答がかなりあるのに対し、37℃以上は少なく、日本人の体温の平均値36.89℃と比べて低い傾向がみられます。これは正しく体温を測れていない可能性があると考えられます。
平熱の正解
日本人の体温の平均値は36.6℃から37.2℃のあいだ。
だから37℃が平熱の人がいても当たり前。平熱は、人によってちがうのです。
10歳から50歳前後の健康な男女3000人以上に対し、実測で30分測ったときの体温の平均値は、36.89℃±0.34℃(ワキ下検温)になります。つまり36.6℃から37.2℃の間であれば「普通」なのです。また、この範囲に入るのは全体の7割ちょっとの人ですから、少しくらいその範囲からずれていても、おかしくはありません。「平熱」にも個人差があって当然なのです。医学的に正しい測り方をすれば、37℃はむしろ平均的な平熱の範囲内だということがわかっています。
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発熱の調査
「発熱」だと思うのは、37.0℃以上でした。
平熱よりも1℃前後高くなったとき「発熱」と判断していました。
(自由回答)
Q. あなたは、体温が何℃以上になったら『熱が出た』と判断しますか。
あなたご自身の場合とお子さまの場合のそれぞれについてお答えください。
■『熱が出た』体温 (認知者ベース)
■ 『平熱と発熱の差』平均値 (認知者ベース)
ご自身とお子さまの体温が何℃になったら"熱が出た"と思うのか回答していただいたところ、本人・子どもとも「37.0℃」(50.5%/39.0%)が最も多い回答となりました。
平均値は本人が37.22℃、子どもが37.35℃となっています。
「37℃で発熱」にあてはまる人もいるでしょうが、日本人の体温の平均値が36.89℃(ワキ下検温)と、かなり37℃に近いことを考えると、一般的には低すぎるように思われます。
慢性疲労試験
発熱の正解
37℃からが発熱だという「常識」は、過去の誤解。
ほとんどの人にとっては、平熱の範囲内と考えられます。
子どもの体温を測ってみたら、37℃。「どうしよう、保育園が預かってくれない」「予防接種が受けられない」「プールに入れない…」。そう考えるお母さんが、たくさんいらっしゃることでしょう。
でも考えてください、日本人の体温の平均値は36.6℃から37.2℃の間。つまり「37℃だから発熱だ!」という人は、それほど多くないはずです。37℃以上を発熱と思うようになったのは、昔の水銀体温計が「37℃」を赤い色で表示していたことが原因だと思われます。
では発熱とは何度からなのでしょう?それは一概にはいえません。自分の平熱より明らかに高ければ発熱だということになるのです。
なお感染症法では、37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」と分類しています。
検温法の調査
「ななめ下から」体温計を入れているのは約3割にとどまりました。
(単純回答)
Q. これらの図のうち、あなたの体温計の使い方(測り方)に最も近いものを選んでください。
■体温計の使い方 (n=1,000)
ドクター解説(入來正躬・山梨大学名誉教授)
平熱を正しく知ることが発熱を正しく判断することにつながります。
「平熱」は、時間によっても変わります
発熱を判断するには、まず平熱を知らなければなりません。ところが、健康なときに1回だけ体温を測っても、その値のみを平熱と考えるのは問題です。体温は1日のサイクルで周期的に変動しており、午前4時ごろが最も低く、午後から夕方にかけて高い状態が維持されますが、通常その高低差は1℃以内です。したがって、時間帯によって異なる平熱のリズムを知っておく必要があります。
「発熱」の判断
時間帯ごとの平熱よりも体温が上昇していたら発熱と考えられます。
「発熱」は昔から身体の異常を知る重要な徴候として重視されてきました。とくに感染症の診断にとってはとても重要な手がかりになります。
「平熱」の測り方
よく臨床の先生がたは、起床時、午前、午後、夜の計4回体温を測り、時間帯ごとの平熱としておぼえておくように勧めておられますが、それも有効な方法だと思われます。この場合、食後すぐは体温が上がりますから、食前や食間に検温するのが適切です。また平熱の測定は1日だけでなく、日を置いて何回か測ってみましょう。
高齢者の場合は気温が高いと高め、気温が低いと低めで体温が安定してしまうことがありますので、季節によるちがいも調べておくといいでしょう。
「恒定温」と「平衡温」について
「恒定温」は生理学の言葉
ワキ下で体温を測るとき、なぜワキをしっかり閉じて測らなければならないのでしょう?それはできるだけワキを冷やさないようにして、体の内部のほうの温度をワキ下温に反映させ、ワキ下の温度を医療や健康管理に役立てるためなのです。
ワキをずっと閉じていると、ワキ下の温度は少しずつ高くなっていき、最後は限界に達して、それよりは上がらなくなります。この温度を生理学者は「腋窩(えきか)の恒定温」といいます。ワキを閉じてから、恒定温まで上がるには、約10分間が必要です。
「平衡温」は体温計の言葉
さて、ワキ下に体温計を入れても、瞬間的に恒定温が表示されるわけではありません。
ワキ下が温まり、体温計の先が温められるとともに、体温計の表示は恒定温に向かって進んでいきます。そして、やがて恒定温とイコールになったとき、検温の目的は達せられます。このとき体温計に表示された温度を「平衡温」といいます。
結局、「平衡温=恒定温」ということになりますが、恒定温が医学的・生理学的な言葉であるのに対し、平衡温は体温計としての言葉、工学的な言葉ということができます。
監修者紹介
入來正躬(山梨大学名誉教授)
1960年東京大学医学部大学院修了。フンボルト奨学生としてドイツ・マックスプランク心臓研究所に留学。山梨医科大学生理学教授、山梨県環境科学研究所長を経て、ひかりの里クリニック理事長・院長。
体温は、ご家庭にある体温計で誰でも気軽に測れるもっとも身近な体調チェックの手段です。
体温の基礎知識
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ワキ、口、耳について、体温を測るときの正しい方法をそれぞれ解説します。 検温方法
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