2012年4月30日月曜日

うつ病と不安


うつ病は有病率が高く、また身体的な障害を引き起こしやすい疾患です。

うつ病の一般的な症状

  • 気分の落ち込み
  • 喜びや好奇心の喪失
  • 活力の喪失と疲労感の増加

また次のような随伴症状が少なくとも2つ以上みられます。


時期尚早の痛みと人生の価値
  • 自信や自尊心の喪失
  • 強い自責感、罪悪感
  • 死への思い、自殺願望
  • 思考力や集中力の低下
  • 焦燥感または行動抑制
  • 睡眠障害

うつ病は誰もがかかりうる病気ですが、特定の社会的要因や生物学的要因によって罹患率が高まります。また一部のうつ病は遺伝性の疾患であり、外因の有無に関わらず発症します。
遺伝的にうつ病を発症しやすいタイプの患者においても、症状が現れるきっかけは肉親の死や失業、孤独などの社会的要因である場合があります。うつ病の併発により、心臓疾患や脳卒中、癌、アルツハイマー病、パーキンソン病が一層悪化することもあります。
世界保健機関(WHO)の最新の研究によれば、うつ病は、身体障害のおもな原因疾患として上位10位以内であるとされています。2020年までには疾病別医療負担額の第2位にまで浮上するとWHOでは予測しています(資料:WHO、2001年版)。
うつ病患者の約95%が、全般性不安障害(GAD)や社会不� �障害(SAD)、パニック障害(PD)、強迫性障害(OCD)といった不安障害にも同時に悩まされています。これらの不安障害は、患者の健康を害するものの、ごく一般的な症状であるため、過小評価される傾向があります。不安障害は治療が可能です。症状は、緊張や危険を感じたときのように比較的軽度なものですが、短期間の不安とは異なり、いわれのない不安と恐怖感が募ります。慢性的で治りにくく、放置すれば次第に悪化します。
不安障害患者の多くは、仕事や学業を続けることも、家庭内での務めを果たすことも困難になります。重度の不安障害の場合は、家庭や職場においても自分の務めをきちんと果たすことができずに、結果として良好な人間関係を築く機会が損なわれ、患者の社会的孤立はさらに深まります。

 

有病率


不安を減らす

2001年のWHOの報告書によると、世界でおよそ1億2,100万人が治療を必要とするうつ病にかかっているとみられます。男性よりも女性に多い傾向がみられます。毎年、男性人口の5.8%、女性人口の9.5%がうつ病を患っていると推定されており、また多くの人が人生のある時期、うつ病にかかるとも言われます。WHOの推定では、男女を合計したうつ病の生涯発症率は17%となっています。
世界の製薬市場上位7カ国(フランス、ドイツ、イタリア、日本、スペイン、英国、米国)には、治療を必要とするうつ病患者は、2001年の段階で8,600万人にのぼるとみられています。誤診されるケースも多く、2001年に同7カ国の市場で実際にうつ病と診断されたのは40%程度の約3,500万人でした。米国での診断率は約55%に達しましたが、ヨーロッパ各国で は35~45%にとどまっています。一方、日本の診断率は最も低く、2001年にうつ病の診断を受けた患者は約15%とみられています(資料:Decision Resources社、Psychiatric Disorders Study #1、2002年11月)。
ほとんどの患者は、実際にいくつかの症状が出はじめてから自分がうつ病であることに気づきます。発症後すぐに治療を受ければ再発率は低くなりますが、通常は、55~60%の患者が2年以内に新たな症状を発症します(資料:Decision Resources社、Psychiatric Disorders Study #1、2002年)。
うつ病は不安障害を伴うことが多く、大多数のうつ病患者が不安を訴えます。また不安症患者の20~65%が、うつ病を併発していると考えられます。不安障害にはいくつかの種類がありますが、最もよく知られているのは全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などです。
うつ病と不安の深い関連性は、不安障害の疫学的研究の結果に大きなばらつきをもたらす原因の1つとなっています。うつ病を伴わない不安障害患者は2002年、世界の製薬市場上位7カ国で約6,000万人と推定されています。このうち治療を受けているのは1,100万人程度にすぎません。治療を受けている患者で最も多く確認されるのは、全般性不安障害の後にパニック障害を併発する例です。2012年までに、� �会不安障害は第2位に浮上すると予測されています。
不安障害の生涯発症率は男性で約20%、女性で約30%となっています (資料:Morpace社、2001年) 。

 

H・ルンドベック社の医薬品と研究開発


オメガ3の重量損失の研究

私たちは、うつ病患者の皆様に最適な治療薬を提供することを目指しています。
H・ルンドベック社は、1950年代からうつ病の治療薬開発におけるリーディングカンパニーの1つとして、その地位を守り続けています。当社は抗うつ薬の第一世代である三環系抗うつ薬(TCA)を初めて製品化した企業の1つでもあります。
1970年代から80年代にかけては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)の開発でも最先端を走り続けました。1989年に販売されたシタロプラムは世界的に、抗うつ薬市場における当社の主要製品の1つとなっています。
2002年、当社は次世代のSSRIであるエスシタロプラムの販売を開始しました。最初はスウェーデンで、その後2002年から03年にかけて、40カ国以上で製品化されました。エスシタロプラムは日本で� �うつ病治療薬として開発中ですが、すでにヨーロッパではうつ病やパニック障害、社会不安障害の治療薬として、また米国ではうつ病と全般性不安障害の治療薬として承認されています。現在もエスシタロプラムは次々と適応症を拡大しつつあります。
1950年代に入り、うつ病治療における選択肢は大幅に増えました。今日では、うつ病は完治の可能性が高い疾患ですが、まだ進歩の余地を残す治療領域もあります。治療上最も大きな課題は、薬剤応答性の高い抗うつ薬の開発です。現在抗うつ薬を投与されているうつ病患者のうち、8週間以内に薬剤効果の現われない例は30%以上にのぼっています。
私たちは、抗うつ薬の開発をこれからも進め、うつ病患者の皆様に、新たな治療の選択肢を提供できるよう務めます。一例として、� ��うつ効果のみられる化合物、Lu AA21004のフェーズⅠ臨床試験を2003年末に開始しました。Lu AA21004は、セロトニン再取り込み阻害性と他の薬剤特性を兼ね備えた新たな薬理学的特性をもつ化合物です。

 

製品化された既存の医薬品


うつ病の治療にはさまざまなタイプの薬剤が使われます。1950年代から60年代にかけて開発された第一世代の抗うつ薬は、現在も比較的広範囲に用いられていますが、新世代の抗うつ薬SSRIと、これに続くSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)が今日の市場を席巻している状況です。2003年の第3四半期末には、新世代抗うつ薬がヨーロッパの市場では86%、米国では84%を占めました。日本でも2003年には、これらSSRI/SNRIが抗うつ薬市場の79%に達しています(資料: IMS Health社、IMS Dataview Q3 2003 / H・ルンドベック社市場調査)。
第一世代の抗うつ薬が開発された当時、うつ病治療の画期的な進歩として受け止められました。これらの薬剤は、うつ病患者の症状軽減に初めて効果をもたらした治療薬だったのです。しかし治療に有効である反面、弊害もありました。三環系抗うつ薬は、口渇、視力障害、肥満、嘔吐感、眠気といった副作用を伴います。また、抗うつ薬の過剰投与によって毒性が生じることも問題でした。これらの治療薬に比べてSSRIは副作用が少なく、過剰投与による毒性の問題もほとんどありません。
SSRIは、うつ病の治療に用いられるだけでなく、不安障害に対しても有効です。
SSRI/SNRIの分野では、当社のエスシタロプラムとシタロプラム、グラクソスミスクライン(GlaxoSmithKline)社のパロキセチン、フ� �イザー(Pfizer)社のセルトラリン、ワイス(Wyeth)社のベンラファキシンが世界的に有名です。

 

市場規模

抗うつ薬の世界市場は2003年、売上高で2兆2,493億円規模となり、円ベースで前年比10%の伸び率となりました。抗うつ薬は、中枢神経系疾患で最大の市場に成長しています。
2003年、米国市場は抗うつ薬の世界市場において、全体の68%を占めました。米国ではSSRIやSNRI、SRI(セロトニン再取込み阻害剤)が、薬剤日用量の合計の77%を占めています。ヨーロッパの市場規模は、薬剤日用量ベースでは米国の約70%ですが、売上高ベースでは米国の3分の1以下となります。これは主にヨーロッパの薬価が米国よりも低いためです。2003年の日本の抗うつ薬市場は591億円で、これは世界市場の2.7%にあたります(資料: IMS Health社 / 当社市場調査)。


ルンドベック・ジャパン株式会社
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