今日の雑記は、前回の雑記に書いた、トールキン教授がかつて住んでいた家(ノースムーア通り20番地)の話題の続きです。
5月30日付けの「Mail on Sunday」(デイリー・メールの日曜版)の不動産セクション(本紙とは完全に独立したページ)に、またしてもこの家の特集が組まれていました。デイリー・テレグラフ紙の記事も面白かったけれど、こちらの記事もとても面白かったです。
この記事によると、トールキン教授が「指輪物語」を執筆する時間がなかなか取れず、1944年4月14日の日記に「何とか1、2時間ほど本を書く時間が取れ、フロドをモルドールの門までもう少しというところまで連れて来れた。午後の芝刈りの後に。」などと記していたそうです。自宅の庭の芝刈りは、イギリスではごく日常のありふれた光景ですが、仕事や家の雑事などの合間をぬって「指輪物語」を執筆する時間を見つけていたのでしょう。何とも微笑ましい光景です。本人は忙しくて大変だったでしょうけれど(汗)。
蛇足ですが、「連れて行った (taken)」ではなく「連れて来た (brought) 」という書き方から、日記を書いていた時のトールキン教授は、心の中でフロドと一緒に旅をしていたのかな、それとも黒門に思いを馳せていて、そこに(自分のいる所に)フロドを「連れて来れた」のかな、なんて思いました。
また、この記事によると、この家にトールキン教授の遺品などは何一つ残ってはいないものの、教授と家族が住んでいた当時と殆ど変わっていないそうです。
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面白いのは、トールキン教授が自宅の石炭置き場でビールを醸造していたそうなのですが、奥さんのエディスさんに、家中が醸造所のような臭いになってしまったと文句を言われたそうです(笑)。イギリスでも自分で勝手にお酒を造るのは違法だと聞いた事があるのですが、アルコールの度数にもよるのかもしれません。
このビール、トールキン銘柄のオックスフォードの地酒として売り出したらヒットするんじゃないかなあ(笑)。ラベルとかもそれっぽいデザインにすれば、世界中から注文が殺到しますよきっと。問題は味ですが・・・。ちなみに、この石炭置き場は当時と全く変わっていないそうです。
2階のレイアウトはちょっと変わっているそうで、例えば小さい寝室のドアは「ホビットが通れる程度の幅しかない」とか、シャワー室のドアは透明のガラス張りで、廊下から丸見えだとか。これらも当時と変わっていないそうです(笑)。しかし、透明ガラス張りのドアのシャワー室ですか・・・(汗)。良い意味で、当時の面影を強く残していそうですね。
また、同じく2階の、マスター・ベッドルーム(メインの寝室)につながる化粧室(更衣室)は、トールキン教授の寝室として使われていたそうです。マスター・ベッドルームは「いびきがうるさいからと奥さんに追い出された」そうです(笑)。それに確か、トールキン教授は夜型の生活を好んでいたそうなので、奥さんとの就寝時間帯のずれなども関係あったのではないでしょうか。
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1階は変わってしまった部分も多いそうです。前回の雑記でも書きましたが、トールキン教授の書斎は、現在は、隣の部屋(子供の遊び部屋)との間の壁が取り壊され、一続きの大きな応接間になっているそうです。仕事部屋と子供の遊び部屋が隣り合わせだったことから、「ホビットの冒険」の第一章の「コップをこわせ、皿をくだけ、ナイフをつぶせ、フォークをまげろ (岩波書店『ホビットの冒険』より)」という描写は、自分の子供達が茶器セットをクォーリータイルの床に投げる音からインスピレーションを受けた、という説もあるほどだそうです。本当だとしたら、子供達を愛してやまなかったトールキン教授らしい発想だと思います。ほのぼのしてていいなあ・・・。
現在の居住者であるアイアンシーさん(トールキン教授一家の次にこの家に住んだマクラガンご夫妻の娘さん)は、「観光客は大勢来るのですか?」という問いに「前の窓から外を見なければ(観光客は)いませんよ」と答えています(笑)。ファン達は家の外観を見たり写真を撮るだけにとどまらず、中にはドアベル(親切に「ベル」と書いてあるベルだそうです〔笑〕)を鳴らすファンまでいるそうです・・・。道路から写真を撮るぐらいならまだしも、ドアベルまで鳴らすのは、さすがに行き過ぎのように思えます。アイアンシーさんも、きっともう慣れているのでしょうけれど・・・。
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この家についての関心は高く、多くの問い合わせが来ているそうですが、そのうち数件(several と書いてあります)は日本からの問い合わせだそうです。記者が訪れた時も、日本人ファン(男性)が垣根越しに家の写真を撮っていたとか。熱狂的な日本人ファンが多い表れでしょうか。
なお、著名人の生家などを保管・管理する等の活動でも知られるナショナル・トラストは、この家の購入には関心がないそうです。ナショナル・トラストのスポークスウーマン曰く、同団体は「最後の拠り所のチャリティ」として、その建物が取り壊しの危機に瀕するなどの事態に陥った場合に救済の手を差し出す、という立場だそうです。この家は需要が十分にあるので、関与はしないそうです。なるほど〜。また、「もしこの家が、当時の彼の持ち物を残したままのタイム・カプセルだったら、違っていたかもしれません」ともコメントしています。確かに、実際に執筆活動や仕事に用いた机や椅子、愛用していたパイプなどが残っていたら、凄いことですよね!
この記事は、ネット上でも読めるようになっています。しかし、そのサイトの利用規約に「他サイトからのリンクは当社の文書による許可を得てからでないと不可」と書いてあるので、リンクはせずにURLだけ書いておきます(姑息?)。 News」から「Tolkien House on the market」を探すか、もしくは次のアドレスを
この記事を読む時、この家の詳細が見られるtolkienhouse.comからダウンロードできる(要アクロバットリーダー)、詳しい描写や間取りが掲載されている広告を見ながら読むと、部屋の位置関係などが分かって非常に面白いです。For Sale→brochureと進んで下さい。
トールキン・ソサエティのサイトに「オックスフォードはイギリス平均でも家の値段が高いエリア」と書いてありました。ロンドンからもそう遠くはないし、やっぱり高いエリアなんですね。確かに大きいし、庭も非常に広い家ですが、いろいろと修繕作業も必要だそうで、約3億円はやっぱり高すぎると思います。これくらいのレベルの家でこの値段なら、例えば優雅なコンサバトリーなどがあっても全く不思議ではないと思いますし・・・。やはりトールキンのネームバリュー込みなのでしょうか。
いずれにしても、ファンの一人としては、話題性や投資としてというより、トールキン教授の作品をこよなく愛するファンの人に購入してほしいと思います(というわけで、どうですかリー様?)。
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